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いくつかの化合物の総称
ビタミンAと聞くと、まるで「ある特定の栄養素」を指しているかのように感じてしまいますが、実際は複数の化合物を指す総称です。
レチノール・レチナール・レチノイン酸
そしてビタミンAとは、レチノール・レチナール・レチノイン酸を指す総称のようです。
といっても、サプリメントなどの表記においては、レチノールのことを指してビタミンAと呼びます。のが一般的なようです。
ビタミンAの効果(メリット)
ビタミンAは、油脂に溶けやすい性質をもつ脂溶性ビタミンのひとつ。
動物性の食品に含まれていて、前述のとおりレチノールなどと呼ばれたりします。
このほか、緑黄色野菜など植物性の食品に含まれる「β-カロテン」や「プロビタミンA」も、ビタミンAの仲間。
口から摂取した後、体内でビタミンAに変換されます。
人間の生命を維持したり、身体を動かしたりする時に欠かせないエネルギー源を「三大栄養素」といいますが、これらタンパク質・糖質・脂質の3つの代謝を助けて体調を整えるのが、「ビタミンA」の重要な役割です。
ビタミンAの効果や含まれる食品を紹介します。
効果① 皮膚や粘膜を健やかに保つ
ビタミンAには、口腔・肺・消化器官・膀胱といった粘膜や皮膚の健康を保ち、正常に機能させる効果があります。
感染症の予防にも役立ちます。
効果② 目を保護して視力を保つ
「目が疲れて、夜になると見づらくなる」といったお悩みはないか?
ビタミンAは、眼精疲労の緩和を助ける。薄暗いところでの視力の維持や、夜盲症の予防にも効果的です。
加齢による視力の低下にも、良い影響をもたらします。
効果③ 強い抗酸化作用でガン予防
ビタミンAは、免疫力の増強にも効果的です。
近頃、テレビのワイドショーやネットニュースなどで「ビタミンエース(A・C・E)で免疫力をアップしましょう。」という健康情報を耳にしたことはないか?
ビタミン群がもつ抗酸化作用は、身体がサビつかないよう体内から働きかけてくれます。
なかでもビタミンAは、発ガン抑制と治癒効果に期待できます。
効果④ 成長を促進する
ビタミンAは、正常な成長や発育に欠かせません。
不足すると、骨や歯が発育不全を起こします。肌が角質化するのも、ビタミンA不足の影響です。
効果⑤ 絶大なアンチエイジング効果
老化防止、つまり「アンチエイジング」に関して、ビタミンエース(A・C・E)は絶大な効果を発揮します。
抗酸化作用を高めることで加齢による身体へのダメージを防止するのです。
老化防止に好影響を発揮するビタミン群のなかでも、特に肌の弾力を保ち、見た目の若々しさに多大な影響をもたらすのがビタミンAです。
ビタミンAをしっかり摂ることで、年齢を気にせず、例えば50歳を超えてもアンチエイジング効果を得られるのが魅力です。
効果⑥ 動脈硬化予防やコレステロール調整に
身体をサビつかせないためには、悪玉コレステロールが基準値をオーバーして動脈硬化を起こさないよう注意することが大切です。
サビの原因となる活性酸素をやっつけるため、抗酸化物質を取り入れましょう。
ビタミンAは、悪玉コレステロールのコントロールにも重要な役割を果たします。
ビタミンAの副作用(デメリット)
続いては、ビタミンAを摂取することによる副作用(デメリット)をご紹介します
医薬品ではないので副作用という言葉を使うことは誤りですが、そのほうがわかりやすいので、副作用という表現のままにします。
過剰摂取の危険性はあるか
「日本人の食事摂取基準(2015年版):厚生労働省」によると、1日に推奨されているビタミンAの推奨摂取量は、成人男性の場合800~900μg、成人女性の場合は650~700μgです。
しかしビタミンAは、脂溶性。
水に溶ける性質ではないため、摂取しすぎても尿と一緒に排泄されることがなく、身体に吸収されて脂肪と一緒に蓄積されてしまいます。
そして、ビタミンAをが体内に蓄積されすぎると健康に悪影響を及ぼすことがあるため、1日あたりの摂取上限が男女ともに2700μgと決められています。
通常の食事を摂っているだけではビタミンAの過剰摂取になることは考えにくいことですが、食事をしながらサプリメントやドリンク剤などを併用することで、気づかないうちに過剰摂取になっている可能性があります。
お気をつけください。
人体に有害な作用はあるか
ビタミンAを過剰摂取してしまった場合は、副作用がでます。
急性の副作用としては、頭痛や嘔吐が考えられ、慢性副作用は、成長停止、体重減少、脂肪肝、甲状腺機能低下といった症状が挙げられます。
妊婦さんは、一般の方よりも多めに摂取する必要はありますが、ビタミンAを過剰摂取すると胎児に奇形が起こりやすいという危険性が高まると言われていることもあり、摂取量には十分注意したほうが良いと思います。
その点、植物性のβ-カロテンなら、必要な量に応じて体内でビタミンAに変換されるので、過剰摂取の心配がありません。
逆に、動物性の食品から摂るビタミンA(レチノール)は、体内に蓄積されてしまうので過剰摂取になりやすく、注意が必要です。
「でしたら、植物性のβ-カロテンだけ摂ればいいのでは?」という考えになりそうですが、そうはうまくいきません。
植物性のβ-カロテンで動物性のビタミンA(レチノール)相当分を摂取するためには、約12倍もの量を摂らなければなりません。
オススメの食べ方としては、植物性を中心に動物性を少量取り入れ、両方をバランスよく摂るとよいでしょう。
ビタミンAが多く含まれる食材(量が多い順)
食材① 鶏レバー
鶏レバーは、非常にビタミンAが豊富な食品です。
驚くことに、焼き鳥串のレバー1本にビタミンAが4200μgも含まれています。
こんなにも栄養価の高いものを毎日食べていては過剰摂取になってしまうので、ここぞという時の栄養補給に食べるのがオススメです。
食材② にんじん
表皮がオレンジ色の野菜やフルーツには、橙系のフィトケミカルとβ-カロテンが豊富に含まれています。どちらも、高い抗酸化作用を誇る成分です。
特にフィトケミカルは、野菜自身が紫外線などから身を守るために必要な成分なので、強い抗酸化作用が含まれています。
にんじんから効率よくビタミンAを摂取するためには、油脂と一緒に摂るとよいでしょう。吸収率がアップします。炒めものにして食べると効果的です。
食材③ ほうれんそう
ほうれんそうは、ビタミンACE(エ-ス)が豊富で、強い抗酸化作用が得られる食材です。
天然色素カルテノイドの一種であるルテインが含まれますが、体内に入るとビタミンAとして働きます。
食材④ 西洋かぼちゃ
「冬至にかぼちゃを食べると病気にならない」という言い伝えがあるほど、かぼちゃは栄養満な緑黄色野菜。
夏の植物なのに冬まで保存できることも、昔から重宝された理由でしょう。
かぼちゃは、体内でビタミンAに変わることでおなじみのβ-カロテンはもちろん、ビタミンC・E・B1・B2、ミネラル、食物繊維などが豊富な栄養価の高い食物。特に皮にはβカロテンがたっぷり含まれるので、捨てずに調理しましょう。
また、かぼちゃのβ-カロテンは、熱に強くて脂に溶ける性質をもっているので、油で調理すると吸収率がアップします。
植物性の油脂が豊富なゴマやナッツ類と合えるだけでも効果的です。
食材⑤ うなぎ蒲焼き
うなぎの蒲焼きには、1食100gにビタミンAが1500μg含まれています。
夏バテ解消にうなぎの蒲焼きを食べる習慣が根付いていることでもわかるように、ビタミンだけでなくミネラルやDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)まで豊富に含まれる栄養価の高い優れもの。
疲労回復効果のほかにも、悪玉コレステロールをコントロールしたり高血圧・脳卒中・動脈硬化を予防したりと、うなぎは、健やかな心身を保つために役立ちます。
食材⑥ 干し海苔
干し海苔は、体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンが豊富な食材。
100g中、なんと38000μgものβ-カロテンを含んでいます。
全型の海苔1枚(3g)で1140μgもの量が取れるので、効率よくビタミンAを摂れる食材です。
ビタミンの他に、カルシウムや鉄分、食物繊維も豊富な健康食材。まるで海から来た天然のサプリメントです。
また、カロリーや塩分が含まれるものの、非常にわずかであるところも魅力です。
全型の海苔1枚(3g)の場合、カロリーはわずか5.6kcal程度なので、ほぼ無いと考えてもよさそうです。
含まれる塩分は海の恵みの天然のもので、味付け海苔の3分の1ほどに当たる。