大円筋は肩甲骨下角部と上腕骨小結節稜を繋いでいる筋肉で、腕を内側に内旋させたときに脇の後ろ側で動いています部分にあたります。
ひじを身体側に開いた状態にしたときに、上から腕を引く動作で収縮して、腕を身体よりも後ろ側に回す肩関節の伸展の動きや、腕を体側に引き寄せる肩関節の内旋や内転をサポートしている筋肉です。
大円筋は肩甲骨に付着しているので、上腕の動きそのものに大きく影響を及ぼすものではありませんが、上腕の伸展には欠かせない存在でもあります。
起始と停止
- 起始:肩甲骨下角部
- 停止:上腕骨小結節稜
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大円筋の役割や鍛えるメリット
大円筋は、水泳やテニス、柔道などの腕を大きく動かすことや、腕で掴むといった動きが多いスポーツをはじめ、普段の日常生活でも貢献している筋肉です。
たとえば、物を引き寄せる動作や後ろに手を伸ばす動作に作用しています。
そのため、大円筋を鍛えることでスポーツ時のパフォーマンスアップはもちろん、日常生活で感じる力不足を補うことが可能です。
高齢になると茶碗などを引き寄せたり、着替えたりする際に腕を後ろに伸ばすにも苦労するケースが少なくありません。
日頃から大円筋のストレッチやトレーニングを行い、大円筋の柔軟性を維持し、パワーを発揮できる状態にしておくことで、老化の防止や介護予防にも繋がるかもしれません。
肩甲骨の伸展
大円筋の役割1つ目は肩甲骨の伸展です。
肩甲骨の伸展とは、腕を後ろに振り上げる動作のことです。

肩関節の伸展
肩甲骨の内転
2つ目の役割は肩甲骨の内転です。
胸を出して肩を後ろに引く動作が内転です。

肩甲骨の内転
肩甲骨の内旋
3つめの役割は肩甲骨の内旋(ないせん)です。
肩甲骨の内転とは、腕を内側に回す動作のことです。

肩甲骨の内旋
大円筋のストレッチ方法
大円筋は広背筋の一部を構成しており、これだけを特別ストレッチしたり、トレーニングしたりするのは難しいが、次のようなストレッチを行うことで、ローテーターカフや三角筋と一緒にほぐすことが可能です。
ちなみに、ここでご紹介しますストレッチは立った姿勢でも座った姿勢でも気軽に取り組めるので、筋力トレーニングをするウォーミングアップやクールダウン目的で行うだけでなく、オフィスワーク中など日常生活の中でも気軽にチャレンジしていただけると幸いです。
では、ストレッチのやり方を順にご紹介していきましょう。
- まっすぐに立つ
- もしくは、イスに軽く腰かける
- 右手を斜め45度に後ろに下げる
- 後ろに下げたまま、腕をひねって回転させる
- 痛みの出ない範囲で
- 左右に5回転ずつ行う
- 左手も同じように5回転
わき下の筋肉が刺激されているのを感じながら、じっくりと時間をかけて行うのがポイントです。
ストレッチを行う際の呼吸は止めることなく、安定的な呼吸をしましょう。
手の位置は上下させず、ゆっくり筋肉をひねるイメージで、大円筋を含めた肩まわりの筋肉が刺激され、ほぐれていくのを感じながら行うといいです。
ストレッチを行う際、ただ回数をこなすだけでは筋肉はほぐせません。
左右5回転ずつでいいので、じっくり時間をかけて温めていくことが大切です。
大円筋を鍛える筋力トレーニング
大円筋は広背筋を中心とした背筋部位を鍛える筋力トレーニングと密接な関係があるので、大円筋を鍛えておくことで、主要な筋力トレーニングをスムーズに行えるようになるメリットもあります。
大円筋を鍛えるトレーニングとしてメジャーなのは懸垂です。
懸垂にもいくつかやり方がありますが、取り組みやすいものをいくつかご紹介しておきましょう。
ワイドグリップ懸垂は懸垂ビギナー向けで、胸を張り、肩甲骨を寄せながら胸を高く上げるイメージで実施するのがコツです。
背中が丸まってしまうと背筋群が収縮しなくなるので、ワイドグリップ懸垂を行う際は無理してバーより上に顎を出す必要もありません。
一方、懸垂がそもそもできない筋力がない初心者ならインバーテッドローと呼ばれる斜め懸垂からチャレンジしましょう。
そして、難易度の高い上級者向けがクライマーズ懸垂で、大円筋を効果的に鍛えられる広背筋トレーニングの一つです。
肩関節の伸展・内転・内旋といった複雑な作用を持つ大円筋のすべての動作を行えるのが利点です。