ボディビルダー

筋トレ効果を最大化する重量設定・収縮方法・可動域・鍛える順番の考え方

筋肥大には様々なファクター(因子)が影響していますが、この記事では、筋肥大効果を最大化するための筋力トレーニングの考え方についてお話していきます。

トレーニング強度(=重量×回数×セット数)

筋肥大効果を最大化するためには、どのようにトレーニング強度を高めればいいのでしょうか。
例えば、1回しか持ち上げられない重量で1回×3セットやることと、10回持ち上げられる重量で10回×3セット行うのでは、どちらが筋肥大効果を高めるのでしょうか。

初心者は、重量にこだわらなくてOK

1985年、カナダのオンタリオ州にあるマックマスター大学の研究グループが、筋力トレーニング経験がない初心者の男性18歳を対象に、筋肥大と負荷に関する検証を行った研究論文を発表しました。

被験者たちは以下3つのグループに分けられ、10週間にわたってトレーニングを行い、筋トレ後には同様の栄養素を摂取しました。

  1. 1RMの80%の重量を1セット
  2. 1RMの80%の重量を3セット
  3. 1RMの30%の重量を3セット

 

  • 360kcal
  • ロイシン3.5g
  • タンパク質30g
  • 炭水化物33g
  • 脂質11g

 

RMとはRepetition Maximumの略で、限界まで繰り返すことができる回数のことです。
「1RMの重さ」とは「1回しか上下できない重量」という意味です。

10週間のトレーニング後、被験者男性たちの大腿四頭筋(太もも)の筋肉をMRIで測定したところ、実験結果は以下のようになりました。

実験の結果

1RMノ30%程度の重量で3セット繰り返した被験者たちと、1RM80%という高負荷で繰り返していた被験者も、同じだけ筋肉量が増加していたのです。

Prior to training, quadriceps muscle volume was 1,581 ± 242, 1,602 ± 215, and 1,529 ± 207 cm3 in the 30%-3, 80%-1, and 80%-3 groups, respectively (no differences between conditions at baseline). After 10 wk of training, the quadriceps muscle volume increased significantly in all groupsP < 0.001) to 1,676 ± 198, 1,651 ± 213, and 1,633 ± 198 cm3 in the 30%-3, 80%-1, and 80%-3 groups, respectively.

Figure 1 depicts these data expressed as percentage change from baseline. Average type I and type II muscle fiber area increased with training (both P < 0.05), irrespective of training condition with no significant between-group differences.

“Resistance exercise load does not determine training-mediated hypertrophic gains in young men”. NCBI.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3404827/, (参照 2018-12-31)

この研究はあくまで初心者を対象にしたものです。
ある程度トレーニングに慣れている方の場合は、低負荷では同じ筋肥大効果は上がらない可能性があります。

トレーニング種目の組み合わせ

組み合わせの考え方

  1. スーパーセット
  2. 主導筋を連続で鍛える
    • コンパウンドセット(2種連続)
    • トライセット(3種連続)
    • ジャイアントセット(4種連続)
  3. ドロップセット(ディセンディングセット)

 

スーパーセット

スーパーセットとは、主導筋と拮抗筋のそれぞのトレーニング種目を休憩なしで連続するトレーニングテクニックです。

例えば、上腕二頭筋と上腕三頭筋を組み合わせて、

の2つを休憩なしで連続して行います。

スーパーセットの目的は、トレーニング時間の短縮による効率化です。

さすがにアイソレーション種目を2つ連続したくらいでは心肺機能は向上しないので、あくまで時間の節約がメリットだと考えておいたほうがいいでしょう。

ドロップセット(ディセンディングセット)

ドロップセット(ディセンディングセット)は、1つのセット内で限界をむかえるたびに、休憩をはさまずに重量を下げて継続していく方法です。

これにより筋線維を限界までパンプアップさせることができ、筋肥大効果が高まると期待されています。

また、通常は3セットは繰り返す筋トレでも、1セットだけで筋肥大を見込めるのがドロップセット(ディセンディングセット)のメリットです。

POF(Positions Of Flexion)

「POF法」とは、関節の可動域を大きく3パターンに分類して、筋線維(筋繊維)の最大負荷がかかるポイントをコントロールして行うトレーニングテクニックです。

POFとは「Positions Of Flexion(屈曲の位置)」の頭文字をとった言葉で、アメリカのトレーニング雑誌『IRONMAN(アイアンマン)』の元編集者スティーブ・ホフマン氏が考案しました。

最大負荷がかかるポイントを3つに分ける

POF法では、筋線維に負荷がかかる瞬間を3つに分類します。

  1. ミッドレンジ(中間くらい)
  2. ストレッチ(筋線維が伸びている)
  3. コントラクト(筋線維が縮んでいる)

 

これら3つの可動域に分けて、それぞれに最大負荷がかかるよう意図的にトレーニングメニューを選ぶのが、POF法のやり方です。

ミッドレンジ(Midrange Position)

ミッドレンジは、ストレッチとコントラクトの中間くらいの状態のことで、上腕二頭筋ならダンベルカール、大胸筋ならベンチプレスなどが当てはまります。

ストレッチ(Streach Position)

ストレッチとは筋繊維が伸びている状態のことで、筋肉が伸ばされているときに最大負荷がかかる筋トレ種目のことを「ストレッチ種目」と言います。

コントラクト(Contract Position)

筋繊維が収縮している状態のことで、筋肉が縮んでいるときに最大負荷がかかるトレーニングメニューを「コントラクト種目」と呼びます。

ミッドレンジ→ストレッチ→コントラクトの順

それぞれ筋トレにおける効果が違ってくるので、トレーニングの順番にも気をつけなければ効果が半減します。

推奨される順番は、

  1. ミッドレンジ
  2. ストレッチ
  3. コントラクト

 

の流れです。

ミッドレンジ種目ではもっとも高い負荷をかけられるので、筋肉が疲労していない最初のタイミングで8~12RMの重量でトレーニングすると、最大筋力アップが期待できます。

続くストレッチ種目では、筋繊維が伸びているときに最大負荷がかかるので、エネルギーを逃がす余地がなくなりケガのリスクが高くなります。

そのため、負荷を軽くしてゆっくりと筋肉に負荷をかけてあげることで、筋繊維が引き伸ばされて筋トレ後の筋肥大効果が高まると考えられます。

最後のコントラクト種目では、筋繊維が縮んでいるときに最大負荷がかかるため、筋繊維に血液がたまってパンプアップしていきます。

パンプアップさせることにより、加圧トレーニングのような効果をもたらすことができ、トレーニング後の成長ホルモン分泌を促進して、筋肉の回復効果を高まります。

以上より、POF法では「筋力アップ」「筋肥大」「疲労回復」の3つの効果を高めることができるのです。

【参考】POF法の部位別筋トレメニュー

コンパウンド/アイソレート種目

コンパウンド種目とアイソレート種目

コンパウンド種目は複数関節を同時に使う多関節トレーニングで、アイソレート種目は1つの関節だけを使う単関節トレーニングを意味します。

アイソレート種目はアイソレーション種目と呼ばれることもあります。

代表的なコンパウンド種目は以下のとおり。

 

コンパウンド種目のメリット・デメリット

  1. 高重量を扱うことができる
  2. 短時間で複数の筋肉を鍛えられる
  3. 間違ったフォームだとケガしやすい
  4. 一人でやると危険な場合が多い

代表的なアイソレート種目は以下のとおり。

 

アイソレート種目のメリット・デメリット

  1. 狙った筋肉だけを鍛えられる
  2. ケガのリスクが小さい
  3. トレーニングに時間がかかる

コンパウンド→アイソレートの順番

原則として、コンパウンド種目からアイソレート種目という順番でトレーニングをしてください。

ベンチプレスを例にご説明しましょう。

ベンチプレスはコンパウンド種目であり、大胸筋・上腕三頭筋・三角筋などが刺激されます。
もし先に、上腕三頭筋を刺激するアイソレート種目のトライセプスキックバックをやってしまった場合、ベンチプレスのときに上腕三頭筋が疲労しており、最大パフォーマンスが発揮できない状態になります。

つまり、本来大胸筋にかかるはずだった負荷が、上腕三頭筋の疲労によって妨げられてしまうのです。

分割法(スプリットルーティン)

分割法(スプリットルーティン)とは、曜日によって鍛える部位を変えることで、1日1~2部位だけに負荷を与える方法です。

原則として分割法(スプリットルーティン)は上級者向きの手法で、初心者のうちは、一つの部位は1種目だけにしたほうがいいです。

メリット1. 筋肉の分解を抑制できる

分割法を取り入れることにより、3分割なら週3回、4分割なら週4回、5分割なら週5回というように頻繁にトレーニングできます。

僕らの身体では常にタンパク質の分解と合成が行われており、タンパク質の分解速度が合成速度を上回っているとき、筋肉はどんどん小さくなっていきます。

そんなときに、筋力トレーニングをすることでタンパク質合成のスイッチをONにし、分解を抑制できるのです。

メリット2. 筋力トレーニングの質が上がる

各部位にわけてトレーニングすることで、筋トレの時間を短くできます。

大胸筋を鍛えるときも、大胸筋上部と大胸筋下部を鍛える種目は別なので、一般の方に比べて何倍もトレーニングに体力と時間を消費します。

長時間のトレーニングを続けると、筋肉内に貯蔵されたグリコーゲンが消費されますし、心肺機能も疲労していきます。

疲れた状態では高負荷なレジスタンストレーニングを行うことは難しくなるため、後半につれてトレーニングの質が下がってしまいます。

そのため、長くても2時間くらいみっちりトレーニングしたら、残りの部位は多力が回復した別日に実施するべきなのです。

最適な筋線維の収縮方法

筋線維の収縮には3種類あります。

  1. コンセントリック(ポジティブ)
  2. アイソメトリック
  3. エキセントリック(ネガティブ)
ネガティブトレーニングは、トレーナーさんによっては、エキセントリックトレーニングやネガティブレップスと呼んでいることもあります。

ネガティブトレーニングとは、エキセントリック収縮を重点的に用いた筋トレ方法です。

エキセントリック収縮は日本語で「伸長性収縮」もしくは「伸長性動作」といい、筋繊維が収縮しようとしながらも徐々に引き伸ばされていく動作のことです。

対義語はコンセントリック収縮(短縮性収縮)です。

エキセントリックとコンセントリックの違い

コンセントリック収縮は日本語で「短縮性収縮」もしくは「短縮性動作」と訳され、筋繊維が収縮するときに力を発揮する動作のことです。

主働筋と拮抗筋をバランスよく使うのが、ネガティブトレーニングの特長です。

主働筋と拮抗筋とは?

筋肉は筋繊維が収縮することで縮みます。
筋線維には自らを伸ばす力がありませんので、縮んだ筋肉は反対側の筋肉が収縮することで引き伸ばされます(伸展)。

この筋肉のペアを主働筋と拮抗筋と言いますが、このペア同士の筋肉が収縮と伸展を交互に繰り返すことで、僕たちは全身を動かし続けることができるのです。

スロートレーニングも似た筋トレですが、スロトレの場合は筋繊維の収縮・伸展どちらでもゆっくりと動作させていくのに対し、ネガティブトレーニングは、収縮時だけ瞬間的に力を入れ、伸展するときは時間をかけてゆっくり動作させる点が異なります。

エキセントリック収縮が必要な理由

東京大学の石井直方教授によると、「インスリン様成長因子(IGF-1)」という物質が分泌されることにより、筋肥大効果が高まると考えられています。

そこで注目されているのが、成長ホルモンに似た「インスリン様成長因子」(IGF-1)という物質です。これは肝臓から分泌されますが、トレーニングをすると筋肉からも分泌され、筋肉自身に働きかけたり、筋サテライト細胞(筋線維の再生のために必要な細胞)という幹細胞の増殖を促したりと、局所的に働いて筋肥大に貢献することがわかっています。

“筋肉を太くするカギを握る「インスリン様成長因子」とは”. 日経Gooday.
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/15/040200001/091900059/, (参照 2018-12-31)

 

この「インスリン様成長因子(IGF-1)」は筋トレによって分泌されるのですが、そのためにはある程度の時間をかけて筋線維が収縮させることが効果的なため、ゆっくりと時間をかけるスロートレーニングなどが良いと言えるでしょう。

では、筋肉にIGF-1を効果的に分泌させる刺激はどういうものかというと、瞬間的に大きな力を出すタイプのトレーニングではありません。少し長い時間、筋線維が頑張って力を出すということが重要です。それはやはりトレーニングの容量を増やすということです。

“筋肉を太くするカギを握る「インスリン様成長因子」とは”. 日経Gooday.
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/column/15/040200001/091900059/, (参照 2018-12-31)

低負荷で行えるのでケガのリスクが小さい

ネガティブトレーニングは、時間をかけて筋繊維を伸ばしていくことで運動強度を高める方法なので、軽い重量でも十分に負荷がかかります。

重量が重くなればなるほど、腱や靭帯、関節を痛めるリスクが高まりますが、ネガティブトレーニングでは、筋肉にかかる負荷は高めつつも、関節にかかる負担を最小限に抑えられるので、初心者にも安心してオススメできるトレーニング手法なのです。

僕がクライアント様にパーソナルトレーニングを指導するときは、女性や初心者であるほどネガティブトレーニングを中心に指導しています。

最適な可動域

可動域は以下3パターンに分類されます。

  1. フルレンジ
  2. ハーフレンジ
  3. パーシャルレンジ

 

筋肥大においては、関節の可動域を最大限つかって筋線維の収縮幅を最大化させるフルレンジトレーニングが最適とされています。

収縮幅が大きいほど、筋肉にかかるトレーニング強度が高まるからですね。

逆に、可動域を狭めるハーフレンジとパーシャルレンジは、筋肉が疲労していても回数を重ねることができるため、トレーニング後半で役に立つテクニックです。

例えば、フルレンジで10回ほど行ったあと、ハーフレンジもしくはパーシャルレンジで行うことで数回ほどレップを増やすといったやり方があります。

Appendix

筋肥大に重要な基本原則

多くのボディビルダーの経験値により、筋肥大に重要な6原則がまとめられています。

  1. 過負荷の原則
  2. 全面性の原則
  3. 漸進性の原則
  4. 意識性の原則
  5. 個別性の原則
  6. 反復性の原則

 

過負荷の原則(オーバーロードの原則)

過負荷の原則とは、「筋肥大や筋力向上を達成するためには、筋肉にかかる負荷を増やしていく必要がある」というもの。

10kgでプリチャーカールができたら12kgにチャレンジし、12kgができたら15kgにチャレンジするというように、筋肉が発揮できる負荷をギリギリ超えているくらいの重量(過負荷)でトレーニングしたほうがいいわけです。

ただ、別に重量を増やすだけが過負荷ではありません。
伸張性収縮によるスロートレーニングを行えば、筋線維からしたら十分に過負荷がかかっているものです。

全面性の原則

全身をバランスよく鍛えていくことで、体力や筋力を総合的に高めていくべき」とする原則です。

筋トレを始めたばかりの男性は、ベンチプレスダンベルカール二の腕大胸筋を鍛えることが多いと思いますが、上半身を支える下半身の負荷が高まるので、かえってケガのリスクも上がります。

また、腹筋ばかり鍛えて背筋をおろそかにしていると、脊柱の腰椎に負荷がかかって腰痛やヘルニアになってしまう可能性もあります。

また、筋肉には主働筋・拮抗筋というお互いをひっぱり合う筋肉があります。
(例:上腕二頭筋 ↔︎ 上腕三頭筋

例えば、収縮した上腕二頭筋が伸びるためには、上腕三頭筋が収縮して腕をまっすぐ伸ばす必要があり、双方がバランスをとりあっているので、それぞれをしっかり鍛えることが望ましいでしょう。

漸進性の原則

漸進性の法則は、「身体の変化にしたがってトレーニングの内容や強度を強くしていくべき」とする原則です。

重量を増やさないと筋肉が発達しなくなるのは過負荷の原理に基づくものですが、漸進性の法則があるからといって、ただ単に重量を増やすだけが対応ではありません。

ディセンディングセット法など様々なトレーニングテクニックがあるので、日によって変えながら実施すればいいのです。

やみくもに重量を増やしていくのは関節に負荷がかかりすぎてケガのリスクが高まってしまうので、重量を維持もしくは下げても効果が上がるような方法を試していきましょう。

意識性の原則

トレーニングを行うときは意識を向けて集中すべき」とする原則です。

例えばレッグカール
ただなんとなく10回を行うよりも、1回ごとにハムストリングスの筋肉がしっかりと収縮していることを意識しながら行うほうが効果が高まるのです。

やっていることは同じなのに、鍛えたい筋肉に効いていることをイメージしながらやるだけで、筋肥大の効率がよくなるのです。

個別性の原則

トレーニングは個人の素質や体質によって効果が変わる」とする原則です。

例えば、体重・身長・体脂肪率が同じAさんとBさんがいて、全く同じ食事とトレーニングを1ヶ月こなしたとしても、結果は同じにはなりません。

その人がもともともっている素質や体質が影響するので、「Aさんはものすごくバルクアップしたけど、Bさんにはまったく効果がなかった」という結果が得られる場合もあるのです。

筋肉がつきにくい体質だからといって、諦める必要はありません。
ハードゲイナーなりの筋トレメニューがあり、いずれ結果がでると考えるのが個別性の原則なのです。

反復性の原則

トレーニングは定期的に継続して行うべき」とする原則です。

90日間でボディメイキングしようと考えたとき、前半の45日間は何もせず食べるだけで過ごし、後半の45日間は毎日トレーニングしたとしても、思うような成果は上がらないでしょう。

なぜなら、運動をしない日々が続くことによって筋肉が分解されるカタボリック状態になってしまうからです。

90日間かけて2日おきに筋トレしていたほうが、身体における体脂肪分解と筋肉合成が促進されるので、最終的な成果はよくなるのです。

筋肥大とインスリンの関係性

インスリンとは血糖値を下げる働きをもつホルモンですが、同時にタンパク質を細胞に運ぶ(蓄積する)作用もあり、体脂肪増加と筋線維増加にも貢献しています。

筋トレ後に糖質を摂取したほうが良いと言われているのは、インスリンがタンパク質を骨格筋に運ぶ作用を狙ってのことなのです。

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