筋トレ

筋肥大効果を最大化する筋トレアプローチの全体像

筋肥大効果を最大化するアプローチモデルの検討

筋肥大のメカニズム

筋肉は筋原線維の集合体

以下に示したイメージのように、筋肉はミルフィーユのように複数層で構成されており、分解していくと筋原線維という構成単位にまでたどりつきます。

  1. 筋原線維(筋原繊維)
  2. 筋原線維の束である筋線維(筋繊維)
  3. 筋線維の束である筋線維束
  4. 筋繊維束が集まった筋肉
mechanism-of-muscle-hypertrophy

筋原線維の構造

では、筋肉の構成単位である筋原線維(myofibrils)についてご説明します。

筋原線維の直径は1~2μm(マイクロメートル)です。
μ(マイクロ)は100万分の1なので、1μmは「1mの100万分の1」です。

髪の毛が最大0.1mmと言われていて、これをμmに換算すると、

  • 1mm=1000μm
  • 0.1mm=100μm

となるので、筋原線維は髪の毛1本を100分の1に割いた細さということです。

筋原線維の構造

筋原線維の中には、同じ構造の組織が何個も並んでいます。
この組織をサルコメア(sarcomere)といいます。

サルコメアは両端をZ線で囲まれていて、内部はI帯とA帯に分けられます。
A帯には2種類のタンパク質が存在し、まるで布団とシーツのように交互に横になっています。

アクチンとミオシン

A帯を構成する2種類のタンパク質はミオシンとアクチンといい、2つをまとめて収縮タンパク質といいます。

筋トレで筋肉が壊れ、超回復する

まれに誤解している方がいらっしゃるのであえて申し上げますと、「タンパク質を摂取しただけで筋肥大が起こる」という考えは誤りです。

筋肥大を起こすには、まず適切な筋力トレーニングによって筋肉が破壊される必要があります。

続いて、十分な栄養と休息を同時にとることにより、壊れた筋線維が修復され、トレーニング前よりも太い状態にまで回復します。

筋肥大のプロセス
  1. 筋肥大に適した強度の筋トレをする
  2. 適筋線維が壊れる
  3. 筋線維に栄養が届く
  4. 十分な休息をとる
  5. 筋線維が修復される
破壊された筋肉が壊れる前よりも太く修復されることを「超回復」といいます。

筋肥大に適した負荷・セット数は?

筋トレ目的別の重量・反復回数・休息時間・セット数でご説明したとおり、筋肥大には1セットあたり6~12回で限界となる重量でトレーニングする必要があります。

筋肥大の最適負荷

筋肥大へのアプローチ

筋肥大へのアプローチrev2

僕たちの人体は水分やタンパク質で構成されていますが、筋肉を構成するタンパク質を「筋タンパク質」と区別されます。

人体での筋タンパク質の合成・分解は24時間絶えることなく行われているため、「合成量」が「分解量」を上回った場合にのみ、筋肥大という”結果”が生じます。

筋肥大へのアプローチ1

筋肥大 = 筋タンパク質合成 > 筋タンパク質分解

筋合成と筋分解の関係

つまり、筋肥大という”解”を大きくするためには、以下2つのアプローチが必要であることが分かります。

  1. 筋タンパク質の合成量を増やす
  2. 筋タンパク質の分解量を減らす

 

筋肥大へのアプローチ2

 

分解量をいくら減らすだけでは現状維持にしかなりませんから、筋肥大によって身体を大きくしたいのであれば、「筋タンパク質の合成量を増やす」というアプローチを重視する必要があるでしょう。

筋肥大へのアプローチ3

 

筋タンパク質の合成量を増やす

筋タンパク質の合成量は、以下2つの変数によって決定されます。

  • 作用(筋線維の修復)
  • 材料(栄養素の吸収)

 

「筋線維の修復」作用を起こすと同時に、材料となる栄養素が体内にきちんと吸収されていることが相まって、筋タンパク質の合成量が増加していくのです。

筋タンパク質の合成量を増やすアプローチ1rev2

 

「筋線維の修復」と「栄養素の吸収」は体内で起こる化学反応であり、意識的にコントロールできるものではありません。

そこで、この両者をそれぞれ意識的にコントロールできる”行動”に変換すると、次のようになります。

  • 筋線維の修復 → 筋力トレーニング方法
  • 栄養素の吸収 → 栄養素の摂取方法

 

筋タンパク質の合成量を増やすアプローチ2rev3

 

続いては、筋肥大効果を最大化する「筋力トレーニング」と「栄養素の摂取」について、具体的に検討していきます。

筋トレの要素分解

筋力トレーニング(以下、筋トレ)のやり方は千差万別であり、パーソナルトレーナーの流派や考え方によってかなり変わります。

具体的なやり方について述べていく前に、まずは筋力トレーニングに含まれる要素を細かくブレイクダウンしてみました。

筋力トレーニングの要素分解rev1

 

どこを鍛えるか(Where)

筋力トレーニングの要素分解 _どこを鍛えるか_

 

筋トレにおいて、鍛えるべき部位をきちんと認識していることは、筋肥大効果を高めるためにも大切です。

全身を9部位に分割する

まず、身体を「上半身」と「下半身」の2つに大別します。
続いて、上半身は6分割、下半身は3分割にすることによって、合計9部位までブレイクダウンしました。

鍛えるべき部位を決める

これら9部位の中で、自身の目的を叶えるために「鍛えるべき部位」と「そうでない部位」に分けていきます。

例えば、ラグビー選手であれば首は絶対に「鍛えなくてはならない部位」ですが、モデルを目指す方にとっては「鍛えなくてもいい部位」になります。

つまり、「鍛えるべき」と「そうでない」という判断はゴールによって変わるため、もはや無数の組み合わせが存在することになります。

よって、この先は目的別に別記事で議論していくこととし、本稿ではここで留めておきます。

  • 全身を上半身と下半身の2つに分ける
  • 上半身6部位、下半身3部位の計9部位にまで落とし込む
  • 「鍛えるべき部位」と「そうでない部位」に分類する
  • 目的によって「鍛えるべき部位」のパターンは変わる

部位毎の筋肉と筋トレニュー

ご自身の目標達成に必要な「鍛えるべき部位」が決まったあとは、各部位に存在している筋肉と役割を理解し、筋トレメニューを検討していきます。

 

どうやって鍛えるか(How)

筋力トレーニングの要素分解 ~どうやって鍛えるか~

 

鍛えるべき部位を決めたあとは、その筋肉をどうやって鍛えていくかを考えていきます。

本稿は項目数が多く非常に具体的な内容にまで踏み込んでいき必要があるため、ここでは各項目のリストのみを記載します。

いつ鍛えるか(When)

筋力トレーニングの要素分解 ~いつ鍛えるか~

 

鍛える部位と筋トレプランが完成したら、あとはスケジュールに落とし込んでいけば完了です。

「頻度」は年単位から日単位にまでブレイクダウンできますが、週単位で考えるのがもっともスケジューリングしやすい方法です。

午前と午後、どちらに行うべきか

結論 <Conclusion>

現時点では、午前と午後のどちらに行っても筋肥大・最大筋力の有意差は見出されていないが、午後に筋トレを行うほうが筋トレ効果が高くなる可能性がある。

2009年の研究論文

2009年12月、フィンランドにあるユヴァスキュラ大学Milan Sedliak博士ら5名の共同研究として、筋トレの時間帯別によって、筋肥大と最大筋力がどう変わるのかが検証されました。

この研究では男性被験者たちを以下3グループに分け、合計20週間の筋トレを行ってもらいました。

  • グループA:7:00~9:00
  • グループB:17:00~19:00
  • グループC:筋トレせず

 

その後、10週間経過時点と20週間経過時点にて、MRIを用いて大腿四頭筋の断面積と体積を測定することで、筋肥大効果の違いを調べた結果、午前中に筋トレしたグループは2.7%、午後グループは3.5%の筋線維増加が確認され、午後グループのほうが0.8%高いという結果になりました。

筋トレは午前と午後、どちらに行うべきか <Sedliak M1, Finni T, Cheng S, Lind M, Häkkinen K., 2009>

The QF average CSA and volume increased significantly (p < 0.001) in both the morning and afternoon training groups by 2.7% and 3.5%, respectively. The 0.8% difference between the training groups was not significant.

“Effect of time-of-day-specific strength training on muscular hypertrophy in men.”. NCBI.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19910830, (参照 2019-01-05)

 

また、0週間時点、10週間経過時点、20週間経過時点の3時点において、ユニラテラルニーエクステンション時の等尺性収縮における筋力、および、ハーフスクワット時の1RM負荷を計測することで、最大筋力における効果の違いも調べた結果、どちらのグループも筋力が増加したことが確認されました。
(※計測は、9:00~16:00の間で無作為に実施)

The entire 20-week training period resulted in significant increases in maximum voluntary contraction and 1RM of similar magnitude in both training groups (p < 0.001 and p < 0.01, respectively) as compared with the control group.

“Effect of time-of-day-specific strength training on muscular hypertrophy in men.”. NCBI.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19910830, (参照 2019-01-05)