今日は「腓腹筋(ひふくきん)」の筋トレ方法やストレッチのやり方を解説していきます。
学名を「musculus gastrocnemius」とする腓腹筋(ひふくきん)は、日頃から鍛えておくことで下半身の思わぬケガを予防できる筋肉です。
一般生活で聞くことは全くない名称なのでピンとくることはないと思いますが、どんな人でも日常生活でかなりお世話になっている筋肉なんですよ。
特に、学生時代にスポーツをしていた人にとっては「ケガをしやすい筋肉」として認知されていることが多いと思います。
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腓腹筋(ひふくきん)の概要
腓腹筋(ひふくきん)は、下半身の中でも非常に重要な筋肉としても知られており、下腿三頭筋を構成する筋肉の一つです。
下腿三頭筋 = 腓腹筋 + ヒラメ筋
ふくらはぎの筋肉を総称して下腿三頭筋(かたいさんとうきん)と言うのですが、これを構成しているのが腓腹筋とヒラメ筋です。
下腿後面の表層筋(アウターマッスル)が腓腹筋で、深層筋(インナーマッスル)がヒラメ筋です。
下腿三頭筋は腓腹筋内側頭と腓腹筋外側頭とヒラメ筋で構成されています。
腓腹筋内側頭は大腿骨内側上顆、外側頭は大腿骨外側上顆から起始して、ヒラメ筋とともにアキレス腱を構成し、踵骨隆起に停止します。
ヒラメ筋と同様、足関節の屈曲と伸展をサポートしていますが、ヒラメ筋は単関節筋なのに対して、腓腹筋は二関節筋であるため、足関節の屈曲だけでなく、膝関節の屈曲にも貢献します。
腓腹筋は下腿後面のもっとも表層部にある筋肉であることから、深層にあるヒラメ筋を覆うようにして付いています。
また、ヒラメ筋は扁平な形状であるのに対し、腓腹筋は膨らんだ形状で発達していることもあり、ふくらはぎの膨らみは腓腹筋の影響を大きく受けています。
英語でGastrocnemius muscle
腓腹筋は英語でGastrocnemius muscleと書く。
英語圏(トレーナー業界)ではGastrocnemiusだけで腓腹筋として通じるようです。
発音は”ガストラクニミウス”。ギリシャの名前っぽい雰囲気が漂っていたので調べたところ、どうやら「胃の…」を意味するgastroと、「すね」を意味するcnemiusが合わさった言葉らしいです。
腓腹筋の起始・停止
全ての筋肉には起始・停止があります。
起始・停止とは?
原則、筋肉の両端は骨にくっついています(筋肉によっては両端とは限りません)。筋線維(筋繊維)が収縮するとき、付着部位が支点と作用点に分かれます。
- 起始:筋繊維が収縮しても動かない付着部位
- 停止:筋繊維が収縮すると動く付着部位
腓腹筋の起始は2つあり、1つは内側頭と大腿骨内側上顆(だいたいこつないそくじょうか)との付着点で、もう1つは外側頭と大腿骨外側上顆(だいたいこつがいそくじょうか)の付着点です。
停止は踵(かかと)の少し上にある踵骨隆起(しょうこつりゅうき)との付着点です。一般的にアキレス腱と呼ばれている部分です。
腓腹筋の筋トレメニュー
ここからは腓腹筋を鍛える筋トレメニューを簡単にご紹介しています。
といっても、腓腹筋の収縮による挙動は1つなので、ほとんど似たようなトレーニングとなります。
腓腹筋の筋トレ① カーフレイズ
腓腹筋を鍛える代表的なトレーニングが、足首を曲げたり伸ばしたりする「カーフレイズ」です。
厳密にはスタンディング・カーフレイズと言いますが、一般的に「カーフレイズ」といえばコチラになります。
自宅で壁に手を添えるだけでやれる手軽なトレーニングですが、ジムなら専用マシンでより高重量をかけることができますよ。
ちなみに、座ったままの状態で行うカーフレイズを「シーティング・カーフレイズ」と言います。
腓腹筋の筋トレ② シーティング・カーフレイズ
その名の通り、椅子に腰掛けたまま行うカーフレイズです。
バーベルなどをひざに乗せて重量を加えることで、座りながらでも負荷をコントロールできます。
フィットネスクラブによっては、「シーティング・カーフレイズ」ができるマシンが置いてある場合もあります。
シングルレッグカーフレイズ
片足立ちで行うトレーニングであり、片足立ちで行うことによってより腓腹筋に負荷をかけることができます。
- ・片足立ちになる
- バランスが取れない場合は壁に手をついたり、イスの背もたれを持ったりして安定して行う
- 軸足のかかとをゆっくりと上げていく
- 床にかかとが付く手前まで下げていく
- これを10回から15回繰り返す
負荷をさらに増やしたいときは、片手にダンベルを持って行うのもオススメです。
腓腹筋の役割とは
腓腹筋は、足首を藻場してつま先を下方に振るような足関節の屈曲や、膝関節の屈曲の動きをサポートしています。
腓腹筋を日常生活ではどのように作用しているのか見ていくことにします。
1.つま先立ちになる
2.背伸び
3.つま先を勢いよく伸ばし、手の届かないような高い場所にあるものを取る際
4.歩行時や立ち上がるとき、膝を屈曲する動作
また、スポーツや運動においては
1.ジャンプ
2.走行の際に足関節を下方に倒す動作
3.つま先立ちになって行うボクシングのステップ
などが挙げられます。
上には挙げたものの、実際、日常生活において使用頻度はそれほど高くないのがこの腓腹筋の特徴です。
また、速筋の構成割合が大きいこともあり、比較的披露しやすい筋肉でもあります。
腓腹筋を使う際、大きな収縮力を用いて全身の体重を支えながら重力に逆らって上へジャンプしたり、高いところからジャンプしたりして着地する際に体重を支える形になります。
実際この動作が行われることは少なく、そのために普段から鍛えておかないことには、腓腹筋を思わぬ形で負荷をかけてケガをしまうことも多いです。
足がつる原因にもなりやすいため、ぜひ今回紹介するトレーニングやストレッチを行っていくと良いでしょう。
腓腹筋のストレッチ方法
腓腹筋は歩いたり走ったりするときに活動しているので、日常生活でもそれなりに疲労しています。
疲れた筋肉には、血行を良くして老廃物を除去するストレッチが効果的です。
腓腹筋のストレッチを行う際は、腓腹筋が二関節筋であることに留意するべきです。
つまり、ふくらはぎのストレッチを行うことにより、膝を曲げてイスに座った状態でつま先を足の甲へ反らしてみても、効果が現れるのはヒラメ筋のみであり、腓腹筋を鍛えることには至らないからです。
そのため、腓腹筋をストレッチする場合、膝関節をしっかり伸ばし、足関節を背屈して反らせていく必要があります。
ではここでストレッチ方法を説明します。
1.壁に向かって立ち、両手をついたら、腓腹筋をストレッチしたい足を後方へ引く
2.後ろ脚のふくらはぎがストレッチできるように骨盤を前方に動かす。
このとき、かかとが床から離れないよう、そして膝が曲がらないように注意する
3.腓腹筋がストレッチされている状態で30秒キープする