アミノ酸

筋肥大効果を最大化するアミノ酸の種類および摂取方法の考察

アミノ酸とは?

「筋力トレーニングをしたらプロテインを飲んでください」とはよく言われますが、プロテイン=タンパク質の粉で、タンパク質の最小単位はアミノ酸、ということについてはあまり知られていません。

この記事では、アミノ酸の基本的知識をおさらいした上で、ボディメイキングにおいてどんな役割があるのかを解説していきます。

アミノ酸とは?

アミノ酸はタンパク質の最小単位です。

ヒトのカラダの約60%が水分で構成されていますが、20%はタンパク質です。
「アミノ酸の合計=タンパク質」なので、20%はアミノ酸で構成されていると言い換えることができます。

アミノ酸は500種類以上

地球上(自然界)にあるアミノ酸は500種類を超えているのですが、タンパク質の構成単位になるのはたった22種類です。

そして、ヒト体内におけるタンパク質を構成しているアミノ酸は、その中でも20種類しかなく、体内で合成できる11種類(非必須アミノ酸)と、合成できない9種類(必須アミノ酸)に分けられます。

人体を構成する20種類のアミノ酸rev4
必須アミノ酸9種類
  1. バリン
  2. ロイシン
  3. イソロイシン
  4. メチオニン
  5. スレオニン
  6. ヒスチジン
  7. リジン
  8. トリプトファン
  9. フェニルアラニン

 

非必須アミノ酸11種類

一方で、体内で合成できるアミノ酸は「非必須アミノ酸」総称されます。

  1. グリシン
  2. アスパラギン酸
  3. アラニン
  4. セリン
  5. グルタミン
  6. グルタミン酸
  7. アスパラギン
  8. システイン
  9. チロシン
  10. アルギニン
  11. プロリン

 

ここでご紹介している必須アミノ酸と非必須アミノ酸は、あくまでヒトにとってのリストであり、動物ごとに何が必須・非必須になるかは変わります。

アミノ酸の効果

さて、それではアミノ酸にはどんな効果があるのでしょうか。

とはいっても、500種類以上あるアミノ酸は、それぞれが独自の作用(効果)をもっているために、1つ1つを解説するにはいきません。

ただ一般的には、傷ついた筋繊維を修復させる疲労回復が効果としてあげられます。

アミノ酸の効果①:疲労回復

アミノ酸はタンパク質の最小単位なので、体内でタンパク質が合成されるときに使われます。

例えば、筋力トレーニングをすれば、筋肉に負荷がかかり筋繊維が壊れていきます。
壊れた筋繊維を修復する過程で、それまで以上の筋肉が合成されるので、より強く太いカラダになることができます。

これがいわゆるボディメイクですが、毎日のようにトレーニングしていると、肉体も疲れてくるので生活どころではありません。

そんなとき、トレーニング前や後にアミノ酸を摂取しておくことで、激しい筋トレからの回復スピードを早めることができるのです。

どんなアミノ酸を摂取すればいいのか考えるのは面倒くさいだろうから、トレーニングをしている方なら、必須アミノ酸(EAA)か、もしくは分岐鎖アミノ酸(BCAA)を摂取しておくことをオススメします。

アミノ酸の効果②:免疫力の維持

疲労回復以外にも、免疫力を維持する効果があるとも考えられます。

アミノ酸の1つであるグルタミンは、免疫力を高める効果があるとされるので、大会後のアスリートや練習後のスポーツ選手への摂取が推奨されています。

1997年には、グルタミンの経口摂取によって感染症が抑えられることが研究されています。

The provision of oral glutamine after exercise appeared to have a beneficial effect on the level of subsequent infections. In addition, the ratio of T-helper/T-suppressor cells appeared to be increased in samples from those who received glutamine, compared with placebo.

引用元:The effects of oral glutamine supplementation on athletes after prolonged, exhaustive exercise.

 

短期間の筋トレは免疫力を向上させる効果がありますが、激しいトレーニングや長い運動は、逆に免疫力を下げてしまいます。

筋トレをやりすぎると風邪をひく、というのは僕の持論ですが、割とよくあるケースらしいと思います。

アミノ酸が足りなくなったら?

普通の生活をしている方は、アミノ酸が足りなくなるということはめったにないでしょう。
お肉とかお魚とか、当たり前の食生活をしていればきちんと摂取されます。

問題はトレーニングをしている人です。

アミノ酸は運動時のエネルギー源としても利用されるから、激しいトレーニングをするということは、それだけ消費されてしまうということ。

くわえて、筋トレによって破壊された筋繊維を回復させるためにもアミノ酸は必要になるので、余計に摂取しなくてはなりません。

爪や髪がボロボロになる

僕たちの爪や髪の毛もタンパク質でできています。

髪は老廃物みたいなもんですが、アミノ酸が不足することでボロボロとなっていきます。

逆に、しっかりとアミノ酸を摂取しておけば、ツヤのある爪や髪の毛をキープできるので、積極的に摂取しましょう。

必須アミノ酸(EAA)とは?

必須アミノ酸とは、人体を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内で合成できないアミノ酸9種類をいいます。

人体を構成する20種類のアミノ酸rev4

筋肥大や筋力アップはもちろんのこと、スポーツのパフォーマンスを高める効果がある栄養素です。

必須アミノ酸でない11種のアミノ酸は、非必須アミノ酸といいます。

人体に必要なのに体内で合成できないので、食事やサプリメントを通じて外部から摂取しなくてはなりません。

BCAAとは?

BCAAは分岐鎖アミノ酸を意味します。

分岐鎖アミノ酸は英語でbranched-chain amino acidと書き、必須アミノ酸9種類のうち、以下3つを指す言葉です。

  • バリン
  • ロイシン
  • イソロイシン

バリン

バリンには以下の作用が期待されています。

  • 骨格筋の成長と修復を促進
  • アンモニアの代謝促進
  • 血液中の窒素比率を調整
  • 皮膚の保湿効果

 

ロイシン

ロイシン

ロイシンには以下の作用が期待されています。

  • 骨格筋の成長と修復を促進
  • 骨格筋分解(異化作用)の抑制
  • インスリン分泌の促進
分解されるとHMBが生成

摂取したロイシンが分解されるプロセスにおいて、HMBという物質が合成されます。

正式には「βヒドロキシ βメチルブチレート酢酸」という化合物なのですが、トレーニング初心者がHMBを摂取して定期的に筋トレを行うと、摂取していない場合と比べて筋肥大の効率が上がった研究があります。

イソロイシン

イソロイシンには以下の作用が期待されています。

  • 骨格筋の成長と修復を促進
  • 反射速度や判断力の向上
  • ブドウ糖をグリコーゲンとして骨格筋に貯蔵
  • 糖尿病の予防

フェニルアラニン

フェニルアラニンとは? ~Phenylalanine~|必須アミノ酸の1つ!

DとLの違い

フェニルアラニンだけではなく他のアミノ酸でも同様なのですが、L-フェニルアラニンとD-フェニルアラニンという2つのエナンチオマーをもっています。

L-フェニルアラニンが自然界に存在するフェニルアラニンであり、一方のD-フェニルアラニンは人工的に生成されたフェニルアラニンです。

両者は摂取後の変換先も異なります。

自然界に存在するL-フェニルアラニンは体内に摂取されるとL-チロシンに変換され、その後L-ドーパになります。L-ドーパはノルアドレナリン・ドーパミン・アドレナリンに変換されていきます。

化学合成によって人工的に生成されたD-フェニルアラニンは、Lと同じ工程を経ることはなくフェネチルアミンに変換されて終わりです。

アスパルテームの加水分解により生成

シュガーレス飲料に含まれる人工甘味料のアスパルテームは、体内に摂取されたあとに加水分解されてフェニルアラニン・アスパラギン酸・メタノールになります。

必須アミノ酸の効果

筋トレをしている方やスポーツをしている方は、何かしらの目的をお持ちでしょう。

ですが、両者に共通しているのが筋肉の再生と脂肪分解です。

ボディビルダーは筋肉を大きくしながら体脂肪を減らしたい一方、スポーツ選手は練習や試合で傷ついた筋肉を修復したり、テクニック向上に必要な筋肉を鍛えたい、などと考えてらっしゃます。

EAAは、筋肉の合成を促進したり、体脂肪を分解する働きを助けてくれるので、少しでも運動をしている方ならぜひ摂取しましょう。

EAA(必須アミノ酸)と筋肥大

筋肉が大きくなるためには、以下の方程式が成立している必要があります。

筋肉の合成量>筋肉の分解量

筋肉の合成量を増やすには、①筋トレをして筋合成のスイッチをONにする、②筋肉の源になる栄養素を摂取する、③筋合成をサポートする栄養素を摂取する、の3つが必要です。

このどれか1つでも欠けてしまうと、思うような筋トレ成果を上げることができなくなります。

EAAはこの3つのうち、③筋合成をサポート栄養素に当てはまるので、筋肉を大きくしたい方は積極的に摂取するべきでしょう。

 

炭水化物と一緒にトレーニング前後に摂取しよう

少し古くなるが、2002年にテキサス大学の研究チームが行った必須アミノ酸に関する研究で以下のことがわかりました。

トレーニング前に必須アミノ酸6gと炭水化物35gが入ったドリンクを飲んでおくと、

  • トレーニング中の血流が323%も増加、1時間後も66%増加して2時間後まで続いました。
  • 血流増加により、筋肉へのフェニルアラニン濃度も上昇しました。
  • 摂取したアミノ酸の9割近くがタンパク質合成のために消費されました。

などの結果が得られました。

つまり、トレーニング開始15分前にEAAと炭水化物が含まれるドリンクを摂取しておくと、筋肥大の効率も高まるのです

オススメ必須アミノ酸

トレーニング前に必須アミノ酸と炭水化物を摂る必要性はわかりましたが、では、どんな手段で摂取するのがもっとも効果的なのでしょう。

EAAのパウダーサプリメント

筋肥大(タンパク質合成)を促進するためにEAAが必要ですが、同時にEAA以外のアミノ酸は摂取しないほうがいいでしょう。

というのも、EAA以外のアミノ酸と一緒に摂取してしまうと、EAAの吸収率が悪くなってしまうのです。

どの形態がいいか。

お好みにもよりますが、僕はパウダー系を推奨します。というのも、テキサス大の研究で用いられたのはEAAと炭水化物ドリンクです。

ドリンクのケースで15分という摂取タイミングが出されているので、可能な限り実験と同じ環境にするべきでしょう。

もちろんタブレットや錠剤なら持ち運びが容易になりますが、吸収が遅くなるのでトレーニング20~25分前に摂取するなどの調整が必要になると思います。

バルクアップにオススメなEAA摂取方法

トレーニングを始める15分ほど前に、EAA6gと炭水化物を摂取しましょう。

炭水化物量35g。これはテキサス大の研究論文と同じ分量です。

この炭水化物量だけだと激しいトレーニングをすれば筋グリコーゲンとして消費されてしまうので、プラス35gの炭水化物をトレーニング中および直後に分けて摂取しましょう。

BCAAとグルタミンも合わせてトレーニング中と直後に飲めればなお良いですね。

これで、トレーニングで消費された筋グリコーゲンが補給されるので、筋肉の分解を防いでアナボリックが促進されます。

ダイエットにオススメなEAA摂取方法

ダイエットの場合でも、トレーニング15分前にEAA6g、炭水化物を35g摂取しましょう。

ここで摂取した炭水化物は筋力トレーニングで消費されます。

バルクアップと違ってトレーニング中と直後の炭水化物は摂らなくても良いでしょう。

EAAがオススメなのはこんな方

EAAはアナボリック環境を充実させる効果が特に期待できるので、筋肥大を起こしてどんどん筋肉を大きくしたい方にオススメです。

筋トレの成果を早く出したい方や、停滞期でバルクが増えない方など、とにかく筋肉をつけたい方に摂取してほしい栄養素です。

[/jin-iconbox08]EAAは他のアミノ酸と摂取すると吸収率が悪くなるので、EAAだけでとるようにしましょう。[/jin-iconbox08]

EAAの副作用は?

筋肥大に効果があるサプリメントと言えば、アナボリックステロイドなどのドーピング剤が連想されます。

だがEAAは、人体を構成する必須アミノ酸なので、副作用の心配はありません。お肉や乳製品など、多くの食品に自然と含まれるのです。

「EAAを摂りすぎると腎臓や肝臓に負担がかかる」という記述をみかけることがありますが、EAAに限らず過剰摂取は腎臓や肝臓に負担がかかります。

そもそも、飲み会や不摂生に起因する暴飲暴食が腎臓と肝臓にとってはありえないほど負担になっているので、そういった生活習慣を改めれば、サプリメントを補給しても良いのではないでしょうか。

アミノ酸スコアとは

プロテインで見かける【アミノ酸スコア】をわかりやすく解説!

アミノ酸スコアは国によって違う

アミノ酸スコアを理解しようとする方にとってけっこう厄介な問題なのですが、実は国によって用いられているアミノ酸スコアが違うのです。

  • 日本(昔):プロテインスコア
  • 日本(今):アミノ酸スコア
  • アメリカ(今):PDCAAS
PDCAASとはProtein Digestibility Corrected Amino Acid Scoreの略で、「たん白質消化吸収率補正アミノ酸スコア」です。

タンパク質の消化吸収率によって補正したアミノ酸スコアということです。

プロテインスコア

現在使われているアミノ酸スコアは1973年に提唱されたものです。それより昔はプロテインスコアが使われていました。

プロテインスコアは1955年~1957年、国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization, FAO)によって策定されました。

Food and Agriculture Organization of the United Nations

プロテインスコアの最高点は100ですが、アミノ酸スコアよりも評価基準が厳しいのでスコア100を満たすのはニワトリの卵やシジミくらいだと思います。

この厳粛さのため、現在でもプロテインスコアを表記に用いるべきと考えている方もいらっしゃるようです。

 

アミノ酸スコア

現在、日本で表記に用いられているのはこのアミノ酸スコアです。アミノ酸スコアは1973年に国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)によって策定されました。

アミノ酸スコアは1985年・2002年に改定されたりしているため、1973年の数値と1985年の数値が混在したまま記載されているサイトがあったりします。

 

PDCAAS

PDCAAS(たん白質消化吸収率補正アミノ酸スコア)は、1993年に国際連合食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)により、タンパク質のクオリティを表現するもっとも適切な方法論として策定されました。

PDCAASの最高値は1です。牛乳や卵など、体づくりをしている人の主食が満点です。

スコア食料品
1牛乳
1
1カゼイン
1ソイ
1ホエイ
0.99菌類タンパク
0.92牛肉
0.91豆類
0.87サシャインチ・パウダー
0.893えんどう豆タンパク質
0.78ひよこ豆、大豆
0.75黒インゲン豆
0.73野菜
0.66麻の実(皮なし)
0.64果物
0.59シリアル
0.597えんどう豆(調理済)
0.52ピーナッツ
0.5
0.48ドライフルーツ
0.525小麦ふすま
0.42小麦
0.25小麦グルテン

 

PDCAASを調べたことで、えんどう豆タンパク質(Pea Protein)があるのを初めて知りました。

まだ知名度が低く主流ではないようですが、健康効果が高いらしいので時間を見つけて調査してみようと思います。

スコアが低いことの影響とは?

アミノ酸スコアが低い食品を食べた場合にどんな影響があるのでしょうか。

僕たちの体内では常に摂取したタンパク質を合成して筋肉や脂肪などを作っています。
タンパク質合成には9種類の必須アミノ酸すべてが必要で、1種類でも不足するとタンパク質合成が非効率になるのです。

アミノ酸スコア100とは、タンパク質合成に必要な最適なバランスで必須アミノ酸を含んでいる食品ということになので、それだけタンパク質合成がしやすいということになります。