生化学

人体のエネルギー産生メカニズム(ホスファゲン機構・解糖系・酸化機構)

ヒトにおけるエネルギー産生(ホスファゲン機構・解糖系・酸化機構)

僕たちの身体が活動するにはATP (アデン三リン酸)が必要不可欠であるため、24時間ずっと、ATPを作り出すメカニズム(エネルギー産生機構)が働いています。

そして、エネルギー産生機構には3種類あります。

  1. ホスファゲン機構
  2. 解糖系
  3. 酸化機構
解糖系には、「速い解糖系」と「遅い解糖系」があります。
ヒト体内におけるエネルギー産生機構

ホスファゲン機構(ATP-CP系)

ホスファゲン機構の”ホスファゲン”とは、「細胞の中でエネルギーを貯めるリン酸化合物の総称」であり、ヒトの場合はクレアチンリン酸が当てはまります。

ホスファゲン機構は、もっとも短時間でATP (アデン三リン酸)を生成できるので、一気にATPが必要になったときに有効なメカニズムであり、基本的にあらゆる運動時に稼働しています。

無酸素運動でよく使われている

瞬間的な高強度トレーニングを実施する無酸素運動では、当たり前のようにホスファゲン機構が使われています。
そのため、筋線維におけるクレアチン濃度を高めるために、クレアチンローティングというテクニックを用いるボディビルダーもいます。

ホスファゲン機構が働いています時間がどのくらいなのか、まだ結論がでていないようです(エネルギー代謝を 理 解する(生体エネルギー論))。

有酸素運動の初期段階で使われている

無酸素運動だけでなく、有酸素運動の初期段階でもホスファゲン機構が働いています。
なぜなら、動き出し時にはかなりのパワーを必要とするからです。

ただ、筋線維に蓄えられているクレアチンリン酸は80~100gほどであり、中~長時間の運動では、十分なAATP (アデン三リン酸)を供給できません。

よって、後述する解糖系や酸化機構が必要となるのです。

ちなみに、よく短距離走と長距離走のアスリートでは筋線維が速筋(赤筋)と遅筋(白筋)の比率が異なると言われます。

そして、遅筋(白筋)のほうがよりたくさんのホスファゲン(クレアチンリン酸等)を蓄積しているので、長時間の運動に向いているわけです。

解糖系

解糖系(かいとうけい)とは、その名の通り「糖質を分解することでATP (アデン三リン酸)を生成するエネルギー機構」です。

解糖系は細胞における「細胞質」で行われており、分解されるのは、一般的にはブドウ糖と呼ばれているグルコースです。

グルコースはサイズが大きいので、より小さなグリコーゲンに分解されて、筋線維内に貯蔵されています。

ホスファゲン機構を助ける

前述のとおり、ホスファゲン機構はもっとも速くATP (アデン三リン酸)を生成できるので、短時間の筋トレや、長時間運動の初期フェーズで使われます。

しかし、体内(特に筋線維内)におけるホスファゲン(クレアチンリン酸)が足りなくなれば機能しなくなるので、別のエネルギー機構が必要なってきます。

そこで発動するのが、「解糖系」です。

だいたい、運動が2~3分ほど続いてくるとホスファゲン機構では足りなくなるので、解糖系が動き出すと考えてください(あくまで目安です)。

速い解糖系と遅い解糖系

「速い解糖系」では、ピルビン酸(C3H4O3)を乳酸に変換することで、ATP (アデン三リン酸)を生成します。

特に、トレーニングにおいて必要な酸素が足りない場合に、「速い解糖系」が動員されます。

「速い解糖系」によって乳酸が溜まってくると、カラダが急激に酸性となる(アシドーシス)ため、次第に身体がうごかせなくなってきます。
これは、皆さまも体験したことがある感覚でしょう。

乳酸が溜まる経験を積んでくると、身体に乳酸耐性ができあがるので、トレーニング上級者になればなるほど、追い込まれてからも反復できますよ。

一方で、軽強度のエクササイズを始めたタイミングのように、必要となるATP (アデン三リン酸)があまり多くなく、同時に細胞内における酸素量が十分な時は、「遅い解糖系」が動員されます。

ちなみに、「速い解糖系は」無酸素的解糖と呼ばれ、「遅い解糖系」は有酸素的解糖と呼ばれますが、どちらの解糖系でも酸素は必要とされていません。

酸化機構

ランニングやスイミングといった有酸素運動においては、「酸化機構」と呼ばれるエネルギー機構が働いています。

「酸化機構」では、脂質と炭水化物が70%:30%の比率でエネルギー源となっており、よっぽどのことがない限り、タンパク質を代謝してATP (アデン三リン酸)を生成することはありません。

ずっと何も食べずに身体が飢餓状態になったり、1時間半を超えるような長時間の有酸素運動では、さすがにタンパク質を分解してATP (アデン三リン酸)を生成します。

ちなみに、僕たちヒトが普通に生活するだけでもATP (アデン三リン酸)は必要となるのですが、平常時(安静時)においてはこの「酸化機構」が働いていますのです。

ATPとは

ATP (アデノシン三リン酸)ATP (アデノシン三リン酸)

ATP = アデン三リン酸

ATPは英語で「Adenosine TriPhosphate」と書き、日本語ではアデン三リン酸が正式名称です。

アデン三リン酸とは、アデンのリボース(=糖)に3分子のリン酸が付き、2個の高エネルギーリン酸結合をもつ化合物のこと。

引用元:Wikipedia -アデン三リン酸-

化合物」は「化学反応によって2つ以上の化学物質に分解できる化学物質」であり、ATP(アデン三リン酸)も化合物の1種です。

心臓(心筋)のエネルギー源

僕たち人間は心停止、いわゆる心臓が止まった状態では生命活動を維持できません。

細かいことをいえば、心停止と心配停止は異なりますが、どちらも生命を脅かす危険な状態に変わりはないので、ここでは特に区別していません。
ATPは心臓(心筋)のエネルギー源

心臓は心筋という筋肉で構成されています。

心臓が収縮を続けることで、まるでポンプのように血液を全身に送っているので、僕たちは生きつづけることができています。

そして、心筋が収縮するときにATPがエネルギー源になるのです。

グリコーゲンとは?

グリコーゲンは「貯蔵性と利用性に優れたエネルギー源」です。

僕たちがエネルギー源として利用できるのは三大栄養素の脂肪・炭水化物・タンパク質ですが、脂肪やタンパク質はエネルギー源になるまでに時間がかかるため、急なエネルギー需要に対応できません。

しかし、炭水化物から生成されるブドウ糖(グルコース)はすぐにエネルギー源として使うことができます。
身体が動くためには筋肉を動かす必要があり、そのためのエネルギー源がブドウ糖(グルコース)です。

そして、このページのテーマである「グリコーゲン」とはグルコースが貯蔵しやすく加工された物質です。

グリコーゲンがしっかりと貯蔵されていれば、スポーツやトレーニングをするときに全身のフルパワーを出すことができるのです。

肝臓と筋肉に貯蔵されている

僕たちの身体では筋肉と肝臓にグリコーゲンが貯蔵されており、他の臓器には貯蔵されていません。

肝臓に貯蔵されているグリコーゲンをカロリーに計算するとおよそ300~400kcalほど、一方、筋肉に貯蔵されているグリコーゲンをカロリーに変換すると約1000kcalとなります。

ちなみに、肝臓に貯蔵されているグリコーゲンは肝グリコーゲン、筋肉に貯蔵されているグリコーゲンは筋グリコーゲンと呼びます。

どうして血糖値を一定に保つのかと言うと、それは脳のため。脳はグルコースをエネルギー源としているから、脳に供給するグルコースが不足しないよう、常に血液中のブドウ糖をキープしておく必要があるのです。

肝グリコーゲンは血糖値の維持

肝臓に貯蔵される肝グリコーゲンは、血糖値を一定に保つために少しずつ分解されながら消費されています。
グルコースに転換されて血中に放出されていくのです。

ちょっとずつ消費されていくので、まったく食事をしないでいると、わずか半日ほどで肝グリコーゲンは空っぽになります。

肝グリコーゲンは、後述する筋グリコーゲンとともに筋肉を動かすためにも消費されます。

筋グリコーゲンで骨格筋が駆動

肝グリコーゲンが血糖値維持に使われる一方、筋グリコーゲンは筋肉を動かすために使われます。

ただ肝グリコーゲンと異なり、筋グリコーゲンは血糖値の維持に使われることはありません。

ABOUT ME
岩本 良男(いわもと よしお)
ボディメイクトレーナー。慶應義塾大学商学部卒業。 2016年に独立し、東京23区を中心に出張パーソナルトレーニングを行っております。 ブログは最高23万PV(Monthly)。 現在はジム開業に向けて準備中です。
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