共役リノール酸(CLA)の概要・生理作用を調べた研究論文

共役リノール酸(CLA)

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慶應義塾大学商学部卒業。フリーで活動するパーソナルトレーナー。渋谷や新宿、六本木を拠点に活動しています(東京23区は対応可能)。







お問い合わせをいただいた方から、「共役リノール酸って何ですか?」というご質問をいただきましたので、この記事でご説明しておきたいと思います。

共役リノール酸の概要

本題に入らせていただく前に、まずは共役リノール酸(きょうやくりのーるさん)の位置付けからご説明しましょう。

結論から申し上げれば、リノール酸の化学形態の中で、結合様式に共役型をもつものを共役リノール酸と言います。

有機化合物

大前提として、自然界に存在するすべての物質は、次のように分けることができます。

③化合物→有機化合物 + 無機化合物
よしお
ミネラルウォーターとか、プロテインとか、ほとんどのものは”混合物”に該当します。

このうち、炭素原子(C)を含む”化合物”を”有機化合物”とするのですが、共役リノール酸は化学式「C18H32O2」で炭素原子をもっていますから、有機化合物の1種だということが分かりました。

有機化合物は無数に存在しているので、これだけでは共役リノール酸のことが全く分かっていませんので、次からは有機化合物における分類を考えていきます。

多価不飽和脂肪酸の1種

有機化合物の分類方法は様々で、文脈によって変わりやすいということがあるため、取り急ぎこの記事では、有機化合物において酸性を示す物質の総称を”有機酸”、塩基性を示す物質を”有機塩基”と総称します。

有機酸とは、酸性を示す有機化合物の総称で、食品の中では酸味を示す原因物質の一つである他、酸化を防止したり抗菌性も期待される等、その機能的性質にも注目されています。

“有機酸・脂肪酸・糖類等”. 食品分析開発センター.
http://www.mac.or.jp/technical/organicacid/index.htm, (参照 2018-12-3)

酸の反対が塩基なのです。

さて、有機酸から共役リノール酸までの分類は一気にいきましょう。

  • カルボン酸
    • 脂肪酸
      • 多価不飽和脂肪酸
        • リノール酸
          • 共役リノール酸

図にまとめるとこんな感じになります。

共役リノール酸(脂肪酸の分類)

そして、リノール酸の構造が少し変わったものを共役リノール酸と言います。

分子中に2つ以上の炭素-炭素二重結合があり、二重結合、一重結合(単結合)、二重結合と並んだ状態をとっている場合、共役型二重結合といいます。分子中にこの状態がない場合は非共役型といいます。

“トランス脂肪酸”. 農林水産省.
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_kihon/trans_fat.html, (参照 2018-12-3)

共役リノール酸(CLA)の研究

さて、共役リノール酸がどんな物質なのか大まかに理解したところで、ここからはの作用についてみていきましょう。

共役リノール酸は英語で”Conjugated Linoleic Acid”といい、そのイニシャルをとったCLAという名称でサプリメントが幅広く販売されていますね。

この記事では具体的なサプリメントのお話はしませんが、共役リノール酸の作用を調査した研究論文をご紹介したいと思います。

ノルウェーの共同研究(2004)

北欧のノルウェーで実施され、2004年にAmerican Journal of Clinical Nutritionに掲載された研究論文です。

論文のタイトルは『Conjugated linoleic acid supplementation for 1 y reduces body fat mass in healthy overweight humans.』といい、1年間、CLAが身体組成に与える作用を明らかにする目的で実施されました。

実験の概要

このノルウェーの研究論文で実施された試験の概要をご説明しましょう。

まずは、BMIが25~30の太り気味とされる男女180人が参加しました。

  • 平均年齢:18~65歳
  • 性別比率:男性20%・女性80%
  • 平均体重:80kg前後

恣意的に結果をコントロールできなくするため、180人の被験者をくじ引きによって3つのグループに分けます。

そしてそれぞれのグループに対して、以下のように摂取する錠剤を設定しました。

  • Aグループ:遊離脂肪酸型のCLA
  • Bグループ:脂肪酸エステル型のCLA
  • Cグループ:オリーブオイル(偽薬)
よしお
Cグループには、プラセボ(偽薬)としてオリーブオイルの錠剤を飲んでもらったわけですね。

ちなみに、世の中に出回っている共役リノール酸には遊離脂肪酸型と脂肪酸エステル型があるため、2種類とも実施されました。

全ての錠剤は4.5gに統一されておりましたが、油には1g=9kcalのエネルギーがあるため、食事とは別に約40.5kcalを摂取する生活を1年間続けたということです。

実験の結果

1年間、それぞれに定められた錠剤を飲む生活を続けてもらい、その後の身体組成状況を「X線2重エネルギー吸収法」(DXA法)」で検査しました。

その結果が以下です。

体脂肪の結果

  • Aグループ:平均1.7kg減少
  • Bグループ:平均2.4kg減少
  • Cグループ:平均0.2kg増加

共役リノール酸を摂取していたグループは平均で体脂肪率の減少がみられましたが、一方でオリーブオイルを摂取していたグループでは平均0.2kgの増加がみられました。

また、除脂肪体重(脂肪以外の体重)でも計測されました。

除脂肪体重の結果

  • Aグループ:平均0.7kg増加
  • Bグループ:平均0.6kg増加
  • Cグループ:変化なし
よしお
あまり有意差があるとは言えないものの、体脂肪以外をあらわす除脂肪体重が増えていたというのは、筋肉が増えた可能性も示唆されるので、悪い結果ではないと思います。

最後に、1年間にわたった本研究の間ではリバウンドは確認されなかったことで、研究を行ったグループの結論は「長期間にわたった共役リノール酸の摂取により、体脂肪減少が確認できた」というものです。

よしお
この研究はあくまで共役リノール酸と体脂肪減少における相関関係を調べたもので、共役リノール酸が体脂肪を減らすという因果関係が証明されたわけではないことに注意が必要です。

悪影響が出る可能性は否定されておりませんので、体脂肪を減らすには基本的に食事が一番大切であることは忘れないでいただければと思います。

サプリメントに含まれている共役リノール酸は?

共役リノール酸には複数の化学形態があるものの、私たちが購入できるサプリメントに含まれているのは、一体どの化学形態なのでしょうか。

佐賀大学の柳田氏・永尾氏の連名論文によれば、市販のサプリに含まれている共役リノール酸は以下2つの化学形態が混ざっているものであるとのこと。

  1. 10トランス12シス型
  2. 9シス11トランス型

一般に研究用およびサプリメントとして市販されている共役リノール酸 は、リノール酸をアルカリ共役化することにより生成されており,主な異性体として9シス11トランス型CLAと10トランス12シス型CLAをほぼ等量の割合で含んでいる。

“共役リノール酸の抗肥満・抗高脂血症作用とその機序”. 柳田晃良、永尾晃治.
http://www.jasso.or.jp/data/topic/topics9_24.pdf, (参照 2018-12-3)

 

共役リノール酸を摂るべきか?

さて、以上から共役リノール酸をわざわざ摂取する必要はないと思います。

理由は以下2つ。

  1. 体脂肪減少との相関関係はみられたものの、1年間における摂取で体脂肪の減少幅は1.7~2.4kgと、あまり高いと言えない。
  2. まだまだ研究途上の物質であり、人体への有害作用が否定されていない。

 







共役リノール酸(CLA)

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