バーベルトレーニングは複数の関節を同時に動かすコンパウンド種目になりがちで、筋肉がバランスよく鍛えられていないとケガをしやすいというリスクがあります。
そんなバーベルトレーニングに工夫をくわえて、初心者でも怪我をしにくい状態で大胸筋を鍛えられるメニューとして「バーベルフロアプレス(Barbell Floor-Press)」をご紹介します。
大胸筋、上腕三頭筋、三角筋が鍛えられる
バーベルフロアプレスとは、床に仰向けになった状態で行うベンチプレスです。
知名度が低いトレーニング種目で、実際にやっているトレーニーもあまり多くはないでしょう。
このトレーニングは、関節の可動域を制限することによってケガのリスクを最小限に抑えています。
鍛えられる部位はベンチプレス同様に大胸筋、上腕三頭筋、三角筋などがあげられます。
これらの筋肉が発達すると見た目に大きく関与するため、男性であれば厚い胸板、女性であればバストアップ効果などが期待できます。
バーベルフロアプレスの正しいやり方
バーベルフロアプレスはベンチプレスよりも簡単ですが、正しく行わないと対象部位へと効かせることができません。
重量設定
バーベルフロアプレスは、通常のベンチプレスよりも可動域が狭くなる分、高重量を扱うことができる種目です。
そのため、8~10回×3セットを目安に行いましょう。
ただし、いきなり高重量を扱うのは危険なため、まずは軽い重量で練習することを忘れずに。
スタートポジション
- 膝を90度に曲げ、床に仰向けに寝転がる
- 肩幅を目安にバーベルを両手で握りしめる
- しっかりと胸を張り、肩甲骨を寄せる
正しいやり方
- バストトップに向かってバーベルを下ろしていく
- バーベルがバストトップに着く手前で一度止める
- 胸の力を利用し、同じ軌道でバーベルを持ち上げていく
この動作を繰り返します。
筋トレ効果を高めるコツ
バーベル・フロアプレスは難しい種目のため、大胸筋にしっかりと効かせるためのコツを3つ紹介していきます。
①肩甲骨を寄せる
まず一つ目のコツは、スタートポジションでしっかりと肩甲骨を寄せることです。
なぜなら、肩甲骨を寄せることで自然と胸が張り、大胸筋に負荷が乗りやすくなるからです。
逆に肩甲骨が寄っていないと大胸筋から負荷が抜け、肩を痛める危険性があるため注意しましょう。
②大胸筋に負荷を乗せる
続いて二つ目のコツは、大胸筋に負荷を乗せた状態で動作を行うことです。
なぜなら、普段トレーニングをしていない方は大胸筋が使用されている感覚がよくわからず、腕で押し上げてしまう可能性が高いからです。
もちろん上腕三頭筋を利用してもいいのですが、大胸筋をメインで鍛えたいのであれば胸の筋肉を使用すべきです。
そのため、まずはスタートポジションで大胸筋に負荷が乗っていることを確認してから動作に入るようにしましょう。
③腹圧をかける
最後3つ目のコツは、腹圧をかけることです。
腹圧をかけることで体幹部に力が入り、高重量を扱うことができます。
逆に腹圧がかかっていない状態でバーベル・フロアプレスを行おうとしても、体が安定せずに危険です。
スタートポジションでしっかりと腹圧をかけ、動作中も常に体幹部を固定することを意識しましょう。
注意点、よくある間違い
続いて、バーベルフロアプレスを行う上で良くある間違いや注意点を3つ紹介していきます。
①バーベルの軌道がブレている
まず一つ目のよくある間違いは、バーベルの軌道がブレていることです。
バーベルを上げ下げする際に軌道がブレてしまうと、大胸筋から負荷が抜けるため効果が半減します。
また、高重量を扱った際に軌道がブレるとバーベルを落とす危険性もあるため、常に一定の軌道を心がけましょう。
②肩が浮いてしまっている
続いて2つ目のよくある間違いは、バーベルの挙上時に肩が浮いてしまっていることです。
バーベルフロアプレスで挙上時に肩が地面から浮いてしまうと、大胸筋ではなく三角筋に負荷が乗ってしまいます。
肩関節は怪我をしやすい部位のため注意しましょう。
肩が浮かないコツは、スタートポジションで肩甲骨を寄せたら、動作時は常にその姿勢をキープすることです。
③足を伸ばしている
最後3つ目のよくある間違いは、足を伸ばした状態で動作を行うことです。
なぜなら、バーベル・フロアプレスでは足の力も重要だからです。
これはベンチプレスでも同様ですが、バーベルの挙上時に両足を踏ん張ることで、より高重量を扱うことができます。
また、足を伸ばした状態だと体も安定しないため、足を曲げてしっかりと踏ん張りましょう。
バリエーション種目
バーベル・フロアプレスのバリエーションをいくつか紹介していきます。さまざまな角度から刺激を与えることで、総合的に筋肥大をさせていきましょう。
ダンベルフロアプレス
ダンベルフロアプレスとは、バーベルの代わりにダンベルを利用したフロアプレスです。
バーベルよりも可動域が広い分、狙う部位を変えることができます。
スタートポジション
- 膝を90度に曲げ、床に仰向けに寝転がる
- 両手でダンベルを握りしめる
- しっかりと胸を張り、肩甲骨を寄せる
正しいやり方
- バストトップに向かってダンベルを下ろしていく
- ダンベルがバストトップに着く手前で一度止める
- 胸の力を利用し、同じ軌道でバーベルを持ち上げていく
この動作を繰り返します。
基本的な動作はバーベル・フロアプレスと同じです。
ただし、バーベルよりもバランスが不安定になるため注意しましょう。
また、可動域が広いからといって肘が地面に着くまで下ろすと負荷が抜けてしまうため、常に大胸筋に負荷を乗せ続けるようにしましょう。
上腕三頭筋を狙ったダンベル・フロアプレス
ダンベル・フロアプレスではフォームを少し変えることで大胸筋よりも上腕三頭筋をメインに狙うことができます。
スタートポジション
- 膝を90度に曲げ、床に仰向けに寝転がる
- 両手でダンベルを握りしめる。
- ダンベルがハの字になるようにし、胸の上でセット
- しっかりと胸を張り、肩甲骨を寄せる
正しいやり方
- ダンベルが体側に下りるようにして肘を曲げていく
- 肘が最大限曲がったら一度止める
- 腕の力を利用し、同じ軌道でバーベルを持ち上げていく
この動作を繰り返します。
上腕三頭筋は肘の曲げ伸ばしによって鍛えることができるため、動作中は肘の動きを意識しましょう。
また、ポイントとしては脇の角度を閉じることです。
脇を狭くすることで上腕三頭筋に効かせやすくなるため、ぜひお試しください。
また、逆に脇の角度が広くなると大胸筋や三角筋に負荷が乗りやすくなるため、確認しながら動作を行いましょう。
フロアダンベルフライ
フロアダンベルフライとは、床に仰向けになって行うダンベルフライです。
通常のダンベルフライよりも可動域は狭くなるが、大胸筋に効いています感覚を掴むにはオススメな種目です。
スタートポジション
- 膝を90度に曲げ、床に仰向けに寝転がる
- 両手でダンベルを握りしめる。
- 手の平が向かい合うように、胸の上でセット
- しっかりと胸を張り、肩甲骨を寄せる
正しいやり方
- 両腕を左右に開くようにしてダンベルを下ろしていく
- 大胸筋がストレッチされたら一度止める
- ゆっくりと同じ軌道で戻していく
この動作を繰り返します。
フロアダンベルフライは、大胸筋にストレッチの刺激を与えるのに効果的な種目です。
そのため、動作中は大胸筋が伸びていることを意識して行いましょう。
注意点としては、ダンベルの軌道がずれることです。
大胸筋は横向きに走行しているため、横向きに沿ってダンベルを下すことでより強い刺激を与えることができます。
体に対して真横におろすようにしましょう。